1件、1件、学ぶことの積み重ね
経験のすべてが財産になる

建築部 薮木 雄介

同じ現場は二度とないからおもしろい
SECTION01

工事全体を統括する責任者、いわゆる現場監督をしています。
工事のスケジュールを立て、それに合わせて材料の手配と職人の手配をし、遅れや間違いが生じないよう作業を管理。お客さま(依頼主)と随時打ち合わせをして細かな仕上げ方などを決め、職人さんに指示します。また、安全管理や近隣へのあいさつ、支払い管理、新規案件の見積もりなども監督の仕事です。

高校の建築科を出て入社しましたが、やはり最初はなにもわかりませんから、とにかく毎日現場に入って掃除をしたり、職人さんの作業を手伝わせてもらったりして、現場の様子を理解することから始めました。先輩の下でいろいろと経験しながら少しずつできる仕事を増やしていき、所定の資格を取得後、5年目から一応ひとり立ちという形に。先輩を頼りながらではありますが、まずは小さい案件から、自分が監督として現場を回していくようになりました。入社して16年になる今は、ひと通りどんな仕事でも担当することができますよ。
同じ現場は二度とないところが、この仕事のおもしろさ。それだけに最初は常に「どうしよう」と思うことばかりですが、1件、また1件と経験するたびに、ほんの少しずつでもわかることが増えてくるんです。今でもまだまだ、その繰り返し。決して「これで完璧」と思うことはなく、1件やるたびに「次はもっと」と思うからこそ、続けていけるのかもしれません。

街のあちこちに、自分の関わった建物がある
SECTION02

2年10カ月にわたって監督を務めてきた津山駅北口広場整備工事が、最近ようやく完了しました。昔とは見違えるように、便利でおしゃれな駅前広場になりましたよね!
まさに地元の表玄関である大規模公共工事を手掛けさせていただいたわけですが、やりがいという意味では、大きな仕事も小さな仕事も変わりません。お客さまが求める通りのものを作るのが私の仕事ですから、どんな仕事でも、お客さまに満足していただければ「よかったな」と思います。
思い出に残る仕事と聞かれて頭に浮かぶのは、うまくいった現場よりも、苦労した現場のほうですね。予算も工期もない上に何度も変更が入って休めないというような現場も経験しましたが、「あれは本当に大変だったなあ」と、笑い話になっているんですよ。

その中でもやはり、自分が監督として最初に手掛けた仕事は、強く心に残っています。津山城の備中櫓横にある藤棚の休憩所で、今となれば些細な仕事なのですが、責任者の立場で動くのはこんなに大変なのかと感じたことを覚えています。先輩の指示の下で動いていたときは、早くひとり立ちしたいと思っていましたが、甘かったですね。
でも、この藤棚をはじめ、自分の手掛けた建物の近くを子どもと一緒に通るとき、「これはお父さんが作った」と言えるのはうれしいこと。自分が一生懸命関わった建物が街の中に増えていくというのは、いい仕事だと思いますね。

言葉で伝えることが、なにより大切
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工事に関わるたくさんの人たちの真ん中に立って、いろいろなことを調整する役ですから、「コミュニケーション」が一番大切です。「言わなくてもわかってもらえるだろう」ではなく、些細なことでもきちんと言葉にして確認していかないと、絶対にうまくいきません。
自分よりずっと現場経験の豊富な職人さんたちに指示を出すというのは、特に若いうちはとても難しいものです。実際、逆に怒られることはしょっちゅうでした。でも、そうこうしているうちに、知識がついてきてだんだん認めていただけるようになるとともに、職人さんそれぞれの気質もわかってきて、相手に合わせて上手くコミュニケーションできるようになってきました。元々あまり社交的な性格ではなかったので、そういう点では、学生の頃に比べてずいぶん成長したと思えますね。

現場監督というのは、一人前になるまで時間がかかり、最初は苦労もしますが、経験していて無駄なことはなにもないと感じます。例えば、現場に入り始めたばかりの頃は「毎日掃除ばかりで自分はなにをやっているんだろう」と思っていましたが、掃除は本当に大切で、そのときに手早い掃除のやり方を身につけたことが、しっかりと役に立っています。しんどい経験も結局それが、全部いかされているんですよね。
これから入社されるみなさんには、コミュニケーションを大切に、粘り強く経験を積み上げていってほしいなと思います。一緒にがんばりましょう。

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